A.連休中は女子みたく。


連休休み1日目--土--

「おはよ、大ちゃん」
「おー、早いな亮ちゃん」
「や、俺もさっき来たとこ」

現在、AM10:00

待ち合わせ場所はまさかの学校。

予定を組んだ張本人は、未だに現れない。

「あー、くすけん何考えてんだろうな」
「さあ、前話してたとき女子がすることがしたいって言ってたからな〜」

呆れた表情の大ちゃん。
まあ、そりゃそうだ。
俺も正直、くすけんがなんで女子がすることがしたいって言い出したのか、検討もつかない。
そうこうしてると、遠くにくすけんらしき姿が見えた。

「ごめん!寝坊したっ」

むちゃくちゃ息切れしながら、自転車を押して走ってきたくすけん。
つか、押すより乗った方が早いだろ這

「おー、全然いいけどさ、今から何すんの??」

大ちゃんが、くすけんの背中をポンポン叩きながら問いかける。

「うん、俺プリクラ撮りたい」

...........プリクラ!?

「や、だってお前、プリクラとか男子でも撮るだろ!?」
「それはそうかもだけど、女子の方が撮るだろ?」
「そ、それはそうかもだけど」

いくら言い返しても、くすけんは意見を曲げないようだ。
俺は観念して、自転車のサドルにまたがった。

「ほら、大ちゃんも早くっ」

笑顔で大ちゃんを『早く早く』ってせかすくすけん。
そのまま俺たちはくすけんに流されて、プリクラを撮ることが決定してしまった。

「な、亮ちゃん」
「ん?」

移動最中、一列に並んでいて俺の前にいた大ちゃんがゆっくりとスピードをおとして、俺の横に来た。

「思ったけど、俺たちプリクラ撮るの初めてだよな〜」
「確かに、なんで普通に行かなかったんだろ」

そう笑い合う声は、先頭を走るくすけんには聞こえてないみたいだ。

「ま、お互いがんばろうぜ?」
「おー...........!?」

お互いがんばろうぜ?←

や、なんのことだよっ。

前にあった視線をパッと大ちゃんに向けると、大ちゃんは俺に向かって一瞬微笑んでウインクしたあと、すぐ向き直ってまた一列に戻ってしまった。

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「へえ、プリクラとかいつぶりだろ!」
「俺が知るかっ」
「早く撮ろうぜ」

口々に言い合いながら、俺たちは財布を出す。

「じゃあ亮ちゃん、200円ねっ」
「おー、ほい」

にこにこしながら手を出すくすけんに、俺は素直に200円を渡.........って!

「おいっ!」

俺は手から離れかけた200円を、素早く財布に戻した。

「「え?」」

声を合わせて頭の上に?を浮かべる2人はバカなのか!? 
計算もできねぇのかよっ。

「俺が200円とか、損してんじゃん。2人は100円ずつだろ?」
「うん」

や、うんって!!
そこまでして100円にして欲しいとか思う俺は、どんだけ器ちっせぇんだよ。
くすけんに呆れられるのを覚悟して、俺は返答を待った。


「わかってるよ?」
「え、わかってるって...」
「ははっ、だから3回撮るつもりだったの!」

笑いながら俺の頭を軽く叩くくすけん。
な、なんだよっ、そうゆうことかよっ!
うっわ、俺恥ずかしっ←

心の中ではずかしいって繰り返してる間に、いつの間にか持ってた200円を取られて機械の中に入れられた。

「で、何かポーズしたり?」
「あっ、それは大ちゃんと亮ちゃんのスキにしていいけど、女子っぽい感じで」
「くすけん、お前えらく女子にこだわるな...」

とかなんとか話してたら、フレーム選択画面になって、大ちゃんが迷ってたらタイムオーバー。
勝手にフレームが選ばれてしまった。

「え、え、つかほんとどうすんの?」
「適当でいいだろっ」

笑いながら適当な返答をする大ちゃん。
んな適当でいいのか??

俺は2人に合わせて、同じポーズを取る。
そして、3フレーム目。
事件は起きた。←

「次どうしようかな.....っ!?」

ポーズを考えているくすけんの手を、大ちゃんが自分に向かって引いた。

「ちょっ、だ、だだだ、大ちゃんっ!//」
「なんでもいいんだろ?」

きた、大ちゃんのドSモード。
スイッチ入ったら、しばらく止められない。

顔を真っ赤にしてるくすけんを、大ちゃんは更に強く抱きしめる。
いや、抱きしめてない....のか?
見てみると、大ちゃんの右手はカメラに向けてピースしている。
だけど、きちんと左手はくすけんの背中に回っている。
くすけんも恥ずかしそうに左手をピースさせて前に伸ばす。

......つか、俺どうすればいいんだよ!
これどっからどう見ても、リア充2人組と、それを眺めてる非リア見たいじゃん。

俺はカウントダウンが始まってる時、そっとくすけんの左手にくっつけてピースを一瞬に作った。

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